📌 結論・ポイント(3行要約)
- 国産スタンド・オフ防衛能力の中核:陸上自衛隊の12式地対艦誘導弾の射程を約200kmから約1,000km超へと大幅延伸し、ステルス形状化した能力向上型。
- 陸海空・潜水艦への多角展開:地上発射型に加え、艦艇搭載型(艦発型)、戦闘機搭載型(空発型)、潜水艦搭載型のファミリー化開発を並行推進。
- 配備スケジュールの前倒し:周辺脅威に対処するため、当初予定の令和8年度(2026年度)配備を令和7年度(2025年度)へ1年前倒しして調達開始。
目次
1. 12式地対艦誘導弾(能力向上型)の概要と意義
12式地対艦誘導弾(能力向上型)は、三菱重工業が主契約者となり開発を進めている国産の長距離巡航ミサイルです。敵の防空網やミサイル射程圏外(スタンド・オフ)から攻撃可能な反撃能力の柱として位置づけられています。
主翼を展開して高揚力で低空巡航するステルス設計を採用し、人工衛星経由のアップリンク通信(移動目標アップデート機能)により、発射後も移動する敵艦艇を正確に追尾・撃破することが可能です。米国製トマホーク巡航ミサイルと並び、日本のスタンド・オフ防衛能力の両輪を構成します。
2. 一次資料で見る従来型との性能比較と配備計画
防衛省「防衛力整備計画」および予算公表資料に基づく主要諸元および配備計画の比較は以下の通りです。
【表1】12式地対艦誘導弾 従来型と能力向上型の諸元比較
| 比較項目 | 従来型(12式地対艦誘導弾) | 能力向上型(地発型・開発中) |
|---|---|---|
| 射程距離 | 約200 km | 約1,000 km以上(将来的に約1,500kmへ延伸構想) |
| 外観・ステルス性 | 円筒形キャニスター・通常ミサイル形状 | 主翼展開型・レーダー反射断面積(RCS)低減ステルス形状 |
| 誘導方式 | GPS + 慣性誘導 + アクティブ電波ホーミング | 衛星データリンク(移動目標アップデート機能)+終末画像照合 |
| 展開プラットフォーム | 重装輪車載発射機(陸自のみ) | 地発型、艦発型(護衛艦)、空発型(F-2/F-15改)、潜発型 |
| 配備開始予定 | 2012年部隊配備済み | 令和7年度(2025年度)末より量産品配備開始(前倒し) |
【表2】スタンド・オフミサイル各型の開発・量産ロードマップ
| 派生タイプ | 搭載予定プラットフォーム | 開発完了・配備予定時期 |
|---|---|---|
| 地上発射型(地発型) | 陸上自衛隊 地対艦ミサイル連隊(健軍・勝連等) | 令和7年度(2025年度)末〜配備開始 |
| 艦載型(艦発型) | 海上自衛隊 新型FFM、イージス護衛艦 | 令和8年度(2026年度)配備開始予定 |
| 航空機搭載型(空発型) | 航空自衛隊 F-2戦闘機 | 令和9年度(2027年度)配備開始予定 |
| 潜水艦発射型(潜発型) | 海上自衛隊 たいげい型潜水艦等 | 令和9〜10年度以降配備予定 |
3. 関連装備・政策へのリンク
- ▶ トマホーク巡航ミサイルとは?国産ミサイルとの役割分担
- ▶ 防衛三文書(2022年版)におけるスタンド・オフ防衛能力
- ▶ 三菱重工業の防衛事業とは?誘導武器の製造
- ▶ 新型護衛艦もがみ型・新型FFMへの艦発型搭載
4. 公的出典・検証資料一覧
- 防衛省「我が国の防衛と予算(令和6年度予算の概要)」p.16「12式地対艦誘導弾能力向上型の整備」(PDF)
- 防衛省「スタンド・オフ防衛能力の抜本的強化方針について」(mod.go.jp)
- 防衛装備庁「中央調達に係る契約公表(誘導武器分野)」(atla.mod.go.jp)
最終更新日:2026-09-13
🛡️ DEFENSE NAVI 編集室(調査・監修)
当解説は、防衛省・防衛装備庁などの公的機関が公表した資料をもとに、DEFENSE NAVI編集室が作成・更新しています。誤りにお気づきの場合は、お問い合わせフォームからお知らせください。
