📌 結論・ポイント(3行要約)
- 海上自衛隊初のSTOVL空母化改修:いずも型護衛艦(「いずも」「かが」)にSTOVLステルス戦闘機F-35Bの発着艦能力を付与する2段階改修。
- 「かが」が先行して艦首矩形化(四角形化):「かが」は第1次改修で艦首を四角形に大改修し、米海兵隊F-35Bによる発着艦試験を完了。「いずも」も第2次改修で追随。
- 専守防衛と「多機能護衛艦」の位置づけ:常時戦闘機を搭載する「攻撃型空母」ではなく、離島防衛や有事の洋上給油・臨時展開拠点として運用する方針を国会答弁で堅持。
目次
1. いずも型護衛艦の空母化改修の背景と目的
いずも型護衛艦(ヘリコプター搭載護衛艦:DDH)は、全長248m、基準排水量19,500トンの海上自衛隊最大の水上戦闘艦です。2018年改定の防衛大綱において、太平洋側や南西諸島海域の防空能力を強化するため、短距離離陸・垂直着陸(STOVL)ステルス戦闘機F-35Bを運用可能とする改修方針が決定されました。
日本の太平洋側には戦闘機が発着できる自衛隊飛行場が少なく、万一南西諸島の地上滑走路がミサイル攻撃で破壊された場合、洋上から迅速に航空優勢を確保・維持するための移動基地が必要となります。いずも型はその中核インフラとして再定義されました。
2. 一次資料で見る改修ステップと「いずも」「かが」の違い
防衛省および海上自衛隊の公表資料に基づく両艦の改修工程および諸外国空母との比較は以下の通りです。
【表1】「いずも」と「かが」の改修内容・進捗比較
| 艦名 | 第1次改修内容・完了時期 | 第2次改修内容・予定時期 |
|---|---|---|
| DDH-183 いずも | 飛行甲板の耐熱塗装、黄色誘導線の標示(2021年完了、米海兵隊F-35B発着艦成功) | 艦首形状の矩形化(四角形化)、内部区画の航空燃料タンク・兵員待機室改修(令和6〜8年度) |
| DDH-184 かが | 艦首を先行して台形から四角形(矩形)へ大改修、耐熱塗装、障害物移設(2024年完了、米海兵隊試験実施) | 航空管制用レーダーシステム換装、着艦誘導装置(JPALS)搭載(令和8年度以降) |
【表2】諸外国の軽空母・強襲揚陸艦との規模・運用比較
| 艦種・国名 | 満載排水量 / 全長 | 運用機体・発着艦方式 |
|---|---|---|
| いずも型(日本) | 約26,000トン / 248 m | F-35B(約10機程度臨時搭載可)、SH-60Kヘリ |
| アメリカ級(米海軍) | 約45,000トン / 257 m | F-35B(最大20機)、MV-22オスプレイ、大型ヘリ |
| カヴール(イタリア海軍) | 約30,000トン / 244 m | F-35B(スキージャンプ勾配甲板による発進) |
3. 憲法上の解釈と「攻撃型空母」をめぐる国会論戦
日本国憲法第9条の下で保持が許されない「性能上専ら相手国の国土の壊滅的破壊のためにのみ用いられる兵器(攻撃的兵器)」として、政府は従来「大陸間弾道ミサイル(ICBM)」「長距離戦略爆撃機」「攻撃型空母」を挙げてきました。
政府は、いずも型改修艦にF-35B戦闘機を常時搭載(飛行隊を常駐)させるのではなく、有事や警戒監視、訓練時に臨時搭載する「多機能護衛艦」であると位置づけており、相手国を壊滅させる能力を持たないため合憲であると説明しています。
4. 関連装備・政策へのリンク
5. 公的出典・検証資料一覧
- 防衛省「我が国の防衛と予算(令和6年度予算の概要)」p.18「護衛艦『いずも』『かが』の改修」(PDF)
- 海上自衛隊「護衛艦『かが』へのF-35B発着艦特別試験の実施について」(mod.go.jp/msdf)
- 防衛省「令和6年版 防衛白書」第IV部 海上防衛力・航空防衛力(mod.go.jp/wp)
最終更新日:2026-09-13
🛡️ DEFENSE NAVI 編集室(調査・監修)
当解説は、防衛省・防衛装備庁などの公的機関が公表した資料をもとに、DEFENSE NAVI編集室が作成・更新しています。誤りにお気づきの場合は、お問い合わせフォームからお知らせください。
