📌 結論・ポイント(3行要約)
- 日英伊3カ国の共同開発:航空自衛隊F-2および英伊ユーロファイターの後継として、2035年の配備開始を目指す第6世代ステルス戦闘機。
- GIGO条約と国際分担:国際機関「GIGO」が英国に本部を置き、初代トップには日本人が就任。機体は三菱重工・BAE・レオナルドが共同企業体(JV)を結成。
- 第三国輸出と独自改修性:量産単価低減のため完成機の第三国移転が閣議決定された一方、日本の主権に基づく自由な能力改修(インターオペラビリティ確保)が国会審議の焦点。
目次
1. 次期戦闘機(GCAP)の基本概要と開発体制
次期戦闘機(GCAP:Global Combat Air Programme)は、日本、英国、イタリアの3カ国が対等な立場で共同開発を進める次世代ステルス戦闘機プロジェクトです。航空自衛隊が運用するF-2戦闘機(約90機)が2035年頃から順次退役を迎えることに伴い、防衛省は将来の航空優勢を確保するための後継機の開発を決定しました。
かつて日本はF-2を日米共同開発で調達しましたが、ソースコードの開示制限など主権的な改修の自由度が制約された教訓がありました。これに対しGCAPでは、日本が自国の安全保障環境に合わせて自由に機体・ソフトウェアを改修できる能力の確保を最優先としています。
2. 一次資料で見る開発体制・予算・スケジュール
防衛省および各国政府が締結した「GIGO設立条約」に基づき、国際機関GIGOが調達・管理を一元的に統括し、民間JVが設計・製造を担当します。
【表1】日英伊の分担領域と参画企業一覧
| 領域 | 日本(主契約企業) | 英国(参画企業) | イタリア(参画企業) |
|---|---|---|---|
| 機体設計・統合 | 三菱重工業(MHI) | BAEシステムズ(BAE) | レオナルド(Leonardo) |
| エンジン・推進 | IHI(旧石川島播磨重工) | ロールス・ロイス(Rolls-Royce) | アビオ・エアロ(Avio Aero) |
| 電子戦・レーダー(アビオニクス) | 三菱電機 | レオナルドUK | ELTグループ |
| 政府間統括機関 | GIGO(GCAP International Government Organisation / 本部:英国、初代首席行政官:日本側) | ||
【表2】防衛省「我が国の防衛と予算」における次期戦闘機開発予算推移
| 予算年度 | 計上額 | 主な研究開発・事業内容 | 出所資料・該当頁 |
|---|---|---|---|
| 令和5年度(2023) | 2,476億円 | 日英伊共同開発の本格着手、基本設計・構想検討、エンジン実証研究 | 防衛省 令和5年度予算概要 p.31 |
| 令和6年度(2024) | 1,120億円 | 共同開発機構(GIGO)設立拠出金、機体詳細設計・シミュレーション評価 | 防衛省 令和6年度予算概要 p.33 |
| 令和7年度(2025概算) | 1,114億円 | ミッションシステム統合試験、無人機(UAV)連携技術とのインターフェース研究 | 防衛省 令和7年度概算要求概要 p.35 |
【年表】GCAPプロジェクトのロードマップ
- 2022年12月9日:日英伊3カ国首脳共同声明によりGCAP共同開発を正式発表。
- 2023年12月14日:東京にて防衛大臣会合を開催、「GIGO設立条約」に署名。
- 2024年3月26日:日本政府が防衛装備移転三原則の運用指針を改定、GCAP完成機の第三国直接輸出を限定的に容認することを閣議決定。
- 2024年5〜6月:衆議院・参議院にてGIGO条約が承認可決。
- 2027年(予定):機体の詳細設計完了、試作初号機の製造着手。
- 2035年(目標):初号機配備・運用開始。
3. 争点・政策論点の整理(賛否両論と国会答弁)
GCAPは単なる装備品開発にとどまらず、戦後日本の安全保障政策・産業政策の根本的な変革を伴っており、国会でも激しい議論が行われています。
推進・容認側の論拠
- 開発・量産コストの抑制:単独開発では数兆円に達する開発費を分担し、将来の輸出による量産効果で1機あたりの取得単価を引き下げられる。
- 最先端技術の獲得:英国・イタリアの最先端アビオニクスやエンジン技術を共有し、国内防衛産業の技術基盤・サプライチェーンを強靭化。
- 対等な発言権:自衛隊の要求性能(航続距離・搭載量等)を設計段階から組み込める。
懸念・反対側の論拠
- 平和国家理念との整合性:殺傷能力を持つ戦闘機の第三国輸出は、憲法の平和主義および歴代内閣の武器輸出制限の精神を形骸化させるとの批判。
- 紛争助長リスク:輸出された戦闘機が国際紛争に使用された場合、国際的な責任・批判を共有するリスク。
- 共同開発の合意形成難:3カ国の要求性能や量産スケジュールの不一致による遅延・費用膨張リスク(多国間共同開発の一般的課題)。
4. 関連装備・政策へのリンク
- ▶ F-35戦闘機とは?日本が導入する最新ステルス戦闘機を徹底解説 — ハイ・ロー・ミックス運用の比較対象
- ▶ 三菱重工業の防衛事業とは? — GCAP国内機体取りまとめ企業の実態
- ▶ 防衛装備庁(ATLA)とは? — GIGO条約交渉と装備品調達の司令塔
- ▶ 防衛三文書(2022年改定)の重要ポイント — 次期戦闘機開発の位置づけ
5. 公的出典・検証資料一覧
- 防衛省「我が国の防衛と予算(令和6年度予算の概要)」p.33「次期戦闘機(GCAP)等の開発」(PDF)
- 防衛省「令和6年版 防衛白書」第IV部 研究開発・国際共同開発(mod.go.jp/wp)
- 外務省「GCAP政府間機関の設立に関する条約(条約第5号)」(mofa.go.jp)
- 内閣官房「防衛装備移転三原則および運用指針の改正について」(cas.go.jp)
最終更新日:2026-09-13
🛡️ DEFENSE NAVI 編集室(調査・監修)
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