📌 結論・ポイント(3行要約)
- 8隻体制で弾道ミサイルに備える:海上自衛隊はこんごう型4隻、あたご型2隻、まや型2隻の計8隻のイージス艦を運用し、日本海などで弾道ミサイルへの警戒・迎撃の任務に就いている。
- イージス・システム搭載艦を2隻建造中:陸上配備型のイージス・アショアを2020年に断念した代わりに、大型のイージス艦2隻を建造中。1番艦は2027年度末、2番艦は2028年度末の就役を目指す。
- 迎撃ミサイルの取得も拡大:2024年度予算ではSM-3ブロックIIAに699億円、長距離艦対空ミサイルSM-6に357億円を計上した。
1. イージス艦とは
イージス艦は、米国が開発した「イージス武器システム」を搭載した艦艇のことです。艦橋の四方に固定された平面型のレーダー(SPY-1など)で全周を同時に捜索し、多数の航空機やミサイルを探知・追尾しながら、コンピューターで脅威を判定して迎撃ミサイルを撃ち分けることができます。「イージス」はギリシャ神話の盾に由来する名前です。
海上自衛隊は1993年に1番艦「こんごう」を就役させ、米国以外で初めてイージス艦を運用する国の一つとなりました。当初は艦隊を航空機やミサイルの攻撃から守る防空艦として導入されましたが、1998年の北朝鮮によるテポドン発射などを受け、2000年代から弾道ミサイル防衛(BMD)の能力を持たせる改修が進められました。
2. 海上自衛隊の8隻のイージス艦
【表1】海上自衛隊のイージス艦
| 型 | 艦名 | 基準排水量 | 就役 |
|---|---|---|---|
| こんごう型(4隻) | こんごう、きりしま、みょうこう、ちょうかい | 約7,250トン | 1993〜1998年 |
| あたご型(2隻) | あたご、あしがら | 約7,750トン | 2007〜2008年 |
| まや型(2隻) | まや、はぐろ | 約8,200トン | 2020〜2021年 |
こんごう型は、BMD改修によって大気圏外で弾道ミサイルを迎撃するSM-3を発射できるようになりました。あたご型も、後からBMD能力を付与する改修を受けています。まや型は建造時からBMD能力を持ち、味方の艦艇や航空機とレーダー情報を共有して迎撃できる共同交戦能力(CEC)を初めて搭載しました。
こんごう型の「ちょうかい」は、2025年10月から米国で改修と訓練を受け、2026年3月に巡航ミサイル「トマホーク」の発射能力を獲得しています。イージス艦は防空・BMDに加えて、反撃能力(スタンド・オフ防衛能力)の一翼も担うようになりつつあります。
3. イージス艦が使う主なミサイル
【表2】主な搭載ミサイル
| ミサイル | 主な用途 | 特徴 |
|---|---|---|
| SM-3(ブロックIA/IIA) | 弾道ミサイルを大気圏外で迎撃 | ブロックIIAは日米共同開発で、迎撃できる高度や防護範囲が大きく広がった |
| SM-6 | 航空機・巡航ミサイルへの長距離防空、終末段階の弾道ミサイル迎撃など | 射程が長く、多用途に使える |
| SM-2 | 艦隊防空 | 従来からの主力の艦対空ミサイル |
| トマホーク | 遠方の目標への攻撃(反撃能力) | 射程約1,600km級。「ちょうかい」から運用開始 |
2024年度予算では、SM-3ブロックIIAの取得に699億円、SM-6の取得に357億円が計上されました(財務省の資料による。契約額ベース)。
4. イージス・システム搭載艦(ASEV)
政府は2017年12月、陸上に置く「イージス・アショア」を秋田県と山口県に配備する方針を決めました。しかし、迎撃ミサイルのブースターが住宅地などに落下するおそれを確実に排除できないことなどから、2020年6月に防衛大臣が配備計画の停止を表明しました。その代替として2020年12月に閣議決定されたのが、海上自衛隊が運用する「イージス・システム搭載艦」2隻の建造です。
【表3】イージス・システム搭載艦の概要
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 隻数・建造所 | 2隻(1番艦:三菱重工業、2番艦:ジャパン マリンユナイテッド) |
| レーダー | SPY-7(イージス・アショア向けに導入を決めていたもの) |
| 大きさ(報道による) | 基準排水量 約12,000トン、全長 約190m、全幅 約25m |
| 主な兵装 | SM-3ブロックIIA、SM-6、12式地対艦誘導弾能力向上型(実用化後)、トマホーク運用のための指揮システム |
| 就役予定 | 1番艦:2027年度末、2番艦:2028年度末 |
| 予算 | 2024年度に2隻分の建造費3,731億円(ほか関連経費815億円)。1隻あたりの取得経費は約3,920億円 |
既存のイージス艦より一回り大きく、弾道ミサイル防衛に加えて、極超音速滑空兵器への対処も視野に入れた艦です。一方で、建造費や必要な乗員の確保が課題として指摘されています。
5. 今後の課題
- 人員の確保:8隻にイージス・システム搭載艦2隻が加わり、高い技能を持つ乗員をどう確保するかが大きな課題です。
- 老朽化への対応:こんごう型は就役から30年前後がたち、将来の更新の在り方が検討課題となっています。今後のイージス艦に載せるレーダーは白紙から検討するとされています。
- 新たな脅威:変則的な軌道で飛ぶミサイルや極超音速兵器など、迎撃が難しい脅威への対応が求められています。
6. 関連装備・政策へのリンク
7. 公的出典・参考資料
- 財務省「令和6年度 防衛関係予算について」(mof.go.jp)
- 防衛省「護衛艦「ちょうかい」のトマホーク発射能力の獲得について」2026年3月27日(mod.go.jp)
- 海上自衛隊 公式サイト(艦艇紹介)(mod.go.jp/msdf)
- Yahoo!ニュース エキスパート(高橋浩祐)「海自イージス・システム搭載艦建造に3731億円、新型FFMに1740億円」(news.yahoo.co.jp)
- Wikipedia「イージス・システム搭載艦」(ja.wikipedia.org)
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